誤字脱字、少々の誤訳はご容赦ください。



Owen’s a Win – Memory’s Journey
http://www.channelfireball.com/articles/owens-a-win-memorys-journey/


当たり前のことを、頻繁に訊かれる。「何だってそんなにMagicに嵌ってるんだい?」と。
Magicに嵌ってる理由は、最近では、質の高いトーナメント、CFBのサイト、そしてこれまでにMagicを通じて知り合った友人たち。
Magicを続けている理由というのは、時として複雑なものであったこともあるし、これまでに何度も変わってきてもいる。



私が初めて大規模イベントに参加したのは2005年のGPミネアポリスで、この大会のフォーマットは神河ブロック構築だった。
地元にある行きつけのショップからも、何人かのプレイヤーが参加するようで、私も車で一緒に行かないかと誘われた。
即座に「行くさ」と答てみたものの、何位になるとどんな賞品をもらえるのか、そして、どんなフォーマットなのかさえも知らなかった。GPがどんなものなのか、見当もついていなかった。
とにかく、彼らはカードを貸してくれて、私が組んで使ったデッキはHana KamiとSoulless Revivalをループさせるギミックを積んだGift Rockデッキだった。

先ず、金曜日の前日トライアルに出場した。最近Magicを始めたプレイヤーは知らないかもしれないが、その頃のトライアルは今のように5回戦のトライアルを15個開催するのではなく、その日にたった1回だけ、それも大抵は8回戦か9回戦のトライアルを開催するだけだった。
そしてトップ8に残ったならば、さらに決勝ラウンドを戦う必要があり、そうして優勝してやっと3バイがもらえたのだ。

私はそのトライアルに参加した。トップ8に残り、優勝し、3バイを獲得した。
私はこのバカげたトーナメントを夜中の1時まで戦い、同じ部屋に泊まっていたプレイヤーは全員先に寝てしまっていた。大きな大会前日の、それもこんな夜中に起こされてみんな不機嫌だったが、それでも私のバイ獲得をみんなが喜んでくれた。

本戦の4ラウンド目で、私はJosh Ravitzとペアリングされた。地元のショップのプレイヤーの何人かは彼の名前を知っていて、私は彼がプロプレイヤーだと思い、怖気づいてしまった。
この対戦の細かい部分までは思い出せないが、Sensei’s Divining Topに絡んだミスをしてしまい、結局彼がWaxmane Bakuで私のKokushoをタップできるようになり、敗れてしまった。

対戦が終わってから、彼のプレイングがとても上手かったこと、そしてこのWaxmane Baku入りのWhite Weenieデッキで彼が好結果を残すだろうと私が思っていることを、彼に伝えた。そしてこうも言ったと思う。「Waxmane Baku入り?このカードのおかげで良い順位になれるんじゃない?」

彼はこの大会を11位で終え、今でも私たち2人はこの話をジョークにして盛り上がる。私は最終的に23位で、賞金の250ドルとアマチュア賞の400ドルを手にすることができた。
わからない人のために、アマチュア賞について説明しておこう。この頃は、通常の賞金に加えて、プロツアー出場経験の無いプレイヤーの内で高順位のプレイヤーに、追加の賞金が与えられる仕組みだったのだ。

初めて参加した大きなイベントで650ドル獲得。すぐに父親に電話したが、父は全く信用してくれなかった。
今あらためてこのイベントの結果を見てみると、Gerry Thompsonがトップ8、Paul Reitzlが16位だったことがわかる。
このイベントが私にとって初めてのGPで、しかもあれから数年経ったというのに、この2人が今も私が参加する大会に同じく参加しているなんて、何と素晴らしいことだろうか。

トップ8の名前が発表され、スピーカーから大音量でこう流れた。「2位・・・アマチュア賞トップの1500ドル・・・」それを聞いて言葉も出なかった。
それまでは、通常の賞金でさえそんなに高額がもらえるとは思ってもみなかったというのに、ましてアマチュア賞だけでそんな金額になるとは、なおさら信じられなかった。
とてもうらやましく思い、いつか自分もそんな高額の賞金を得たいと思った。



それから2週間後のGPサンディエゴで、帰路に就く前にWilliam Jansenと共にランチを食べに外に出た。私は最後の2ラウンドを負けてしまい、GPでトップ8に入る大きなチャンスを逃してしまったが、それでも32位で終えることができた。実際のところこれは良い結果で、物事はそんなに上手く行き過ぎはしないということだ。
注文した料理が来るのを待つ間、Hueyがサイドイベントで使ったシールドデッキを眺めていて、やがてそれをいじり始めた。特に何かをしようというつもりではなかった。

食事が終わり、要らないコモンやアンコモンの束をテーブルに置いたまま、空港まで行くタクシーを捕まえに外に出た。店長がテーブルの上のカードを見つけ、私たちが高価なものを忘れて行ってしまったのかもしれないと考え、カードを掴んで外まで追いかけて来てくれた。
もう少しで向きを変えてゴミ箱に投げ込んでしまう所だったが、店長が私たちのためにしてくれたことなのだから、彼に礼を述べることにした。
GPに出るためにこの町に来たのではないかと聞かれ、そして彼もMagicを再開したばかりでとても楽しんでいると告げられた。

私たちはそのカードを彼に譲ると申し出たが、彼は全く信じていない様子だった。そのカードに金銭的な価値はほとんどないこと、私たちはそのカードが全く必要ないことを伝えて、やっと彼は受け取ってくれた。
彼は嬉しそうにリフルシャッフルしながら、彼が最近使っているIzzetデッキとGolgariデッキについて語り始めた。そして、それらのデッキでガールフレンドとどれだけ楽しく対戦しているか、ということについても。さらに、私たち2人のおかげでとても嬉しく、最高の一日になった、と言葉を繋いだ。

同じようなことが自分に起こったとしたら、おそらく彼と全く同じような反応をしたであろう時期も、かつてはあっただろうと思う。
長い期間Magicを続けることによってこういった感動が失われてしまうのはとても寂しいことではあるが、それでもMagicが今でもこのように新しいプレイヤーを幸せにしているのは、とても素晴らしいことだ。



本当にあったウソのような話、あったことさえ忘れかけていた話がある。この経験が無かったとしたら、私が今こうしてMagicをプレイしていることも無かったかもしれない。

確か2002年の、ミルウォーキで開催されたGen Conでのことで、その年には私はまだ13歳だった。
父が車で私を町の中心にある集会所まで連れて行ってくれ、私は一日中Magicをプレイした。その頃は、必死になって大会に参加したり賞品を得ようとしたりすることもなく、ただ単にMagicをプレイし、自分と同じようにMagicを愛する人と時間や空間を共有したかったのだ。
2日目に私は、持っているカードを全て詰め込んだUltra Proのバッグを椅子の下に置き、そしてそのことをほとんど忘れてしまっていた。

30分程が経ち、椅子の下を見ると、バッグは盗まれていた。この出来事は、慎重であったとは言えない13歳のOwen Turtenwaldに、Magicの大会中は自分の荷物を常に意識していなければいけないという貴重な教訓を刻み込んでくれた。
カードを盗まれてしまったことがとても恥ずかしくて、友人にも大人にも告げることができず、ただ泣き叫びながらその場から歩き去り始めた。小さな小さなOwenは、すすり泣きながら当てもなく歩き回っていた。

やがてスタッフが私を呼び止め、何があったのか尋ね、私は自分の身に起こったことを説明した。彼は私を慰め落ち着くように言い、「Magic」というものの中には他人のカードを盗むクソみたいな野郎がどれほど多く存在し、小さなOwenはどれだけ自分のカードに注意していなくてはならないか、ということも教えてくれた。

私は自分の持っているカードにどれぐらいの価値があるかも理解していなかったし、自分が無警戒だということもわかっていなかった。ただ、子供だったのだ。
彼は私に、どんなカードが盗まれてしまったのかを尋ね、私はWild MongrelとBasking RootwallaとFiery TemperとAngerと、そして4枚のCall of the Herdが入ったスタンダードのRGデッキだと伝えた。

この頃、Call of the Herdはフォーマットで最高のカードパワーと最高の値段を併せ持つカードで、自分のカード資産の中ではこのカード4枚が最も重要な部分だった。
これらのことを彼に説明すると、彼は私をディーラースペースまで連れて行き、Trool and Toadのブース前で足を止めると、ショップのスタッフにCall of the Herdが4枚あるか尋ねた。
ショップのスタッフが「あるよ」と答えると、彼は「俺のツケにしておいてくれ」と言った。彼は4枚のCall of the Herdを受け取ると、私に手渡してこう言った。「クソみたいな野郎がいるからって、Magicを止めないでくれ」
その頃、このカードは25~30ドルはしたと思う。

これがどんなにすばらしい行動であるのか、この時は幼くて理解できなかったが、私はだいぶ気分が落ち着き、礼を言ってから、Gen Conを楽しむためにそこを立ち去った。
この彼の名前はわからないし、彼がジャッジだったのか主催者に雇われているスタッフだったのかもわからない。彼が今もMagicに携わっているかさえもわからない。
ただ一つ私にわかっていることは、彼の心の優しさによって、100ドルもするカードを渡された小さなOwenがこうして成長して、あの時の出来事が人生の中心部にまでなったということを、あの彼が知ることはおそらく無いだろう、ということだけだ。

この話がみんなにとって面白いかどうかはわからないが、こうして文章にすることで、彼の目に留まって私が感謝を述べる機会ができる可能性を、わずかでも作れるのだと理解している。
彼を探し出すことは不可能かもしれない。あれから長い年月が経っているし、あの時はほんの子供で、こんなことがあったということさえ忘れかけていたぐらいだし、転居もした。
Magicを介して得た友人を見て、「『人』のおかげでMagicというものが素晴らしくあるんだ」と言うのはとても簡単なことだ。しかし、自分が知っている「人」だけのおかげでMagicが素晴らしいものであるわけではなく、コミュニティ全体のおかげでMagicが素晴らしくあるんだ。

このどこの誰ともわからぬ心優しき彼が、あの時私を見つけて声をかけてくれなければ、一体どうなってしまっていただろうか。
私はその場でMagicを止めてしまっていたかもしれないし、最も親しい友人の何人かとは、出会っていなかったかもしれない。もう少しでPotYになれそうだったり、PTでトップ8に入ることもなかったかもしれない。
どうしてこんな記事を書く気になったのか、はっきりとした理由はわからないが、それぞれのエピソードはそれぞれ面白いだろうと思っているし、それぞれが今Magicを続けている確固たる理由の一つ一つでもある。
この記事を読んだ全てのプレイヤーが、この記事を書いた私と同じほどに楽しんでくれたら、と心から願う。

Owen Turtenwald

コメント

poporon (fumi)
2013年3月29日2:31

ちょっと泣きそうになりました‥
翻訳おつかれさまです。

ネタ蒔き
2013年3月29日2:37

翻訳あざっす!!

ほんまrain先生は神様のようなお方やで(´;ω;`)

nophoto
774
2013年3月29日2:40

スタッフの男とT&Tは最初からグルで
盗む→返すでMTGのイメージアップを狙っていた


ハッキリ分かんだよね

nophoto
yaju
2013年3月29日10:16

>774
美談をクッソきたない邪推で汚す人間の屑は死んで、どうぞ

しょ〜た(ん)
2013年3月29日10:49

いつも翻訳ありがとうございます。
良い記事ですね。

にますけ
2013年3月29日12:03

すげぇいい話ですね…
色んなカードを手にできるようになって忘れてしまっていた大事な部分を甦らせてくれる深い話でした。
そんなデカイ大会はおろか草の根からも遠ざかっていましたが、やはり同じ趣味を持つ、それがなければなんの接点もなかった人との交流の深まりが素晴らしいものだと自分が考えていることが間違ってないと実感出来て嬉しかったです。

翻訳お疲れ様でした!ありがとうございました!

おのでん
2013年3月29日15:35

おつです!rainさん素敵!>

Chicking
2013年3月29日16:33

素晴らしい記事を読むことができました!翻訳お疲れ様です!
勝手ながらリンクさせていただきました。

よっしー(福岡)
2013年3月29日16:59

心が洗われるような文章でした。自分も勝手ながらリンクさせてもらいます。

クニ@pepper
2013年3月29日17:25

翻訳読めてよかった!
自分で読んでいたらぜんぜん違う内容になっていたのでwww

nophoto
ユウ
2013年3月29日19:42

いい話で感動しました。

ラヴェる
2013年3月29日19:46

良い記事を読ませて頂きました、翻訳ありがとうございます!

ムンナロー
2013年3月29日20:31

翻訳お疲れ様です。リンクさせていただきました。

英文の前半だけ読んで、面白いのこれ…?と思って読むのをやめた自分に反省

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